SUS329J4L
二相ステレンス鋼 冷間鍛造製 FA六角ボルト
(Duplex Stainless Steel Bolt Nuts)
材料は日鉄ステンレス㈱製のステンレス鋼線材を使用しています。SUS329J4LはJIS G 4308「ステンレス鋼線材」に規格化されていなかった為
鋼材検査証明書(ミルシート)の鋼種名は「S329J4L」になります。
■二相ステンレス鋼(Duplex Stainless Steel )とは
フェライト組織(Ferritic)とオーステナイト組織(Austenite)が共存したステンレス鋼です。
塩化物環境下での耐食性、すきま腐食性、応力腐食割れ性にも強く、SUS316より格段に優れています。
SUS304、SUS316より高強度であるため、軽量化設計が可能です。
■化学成分(代表例)と耐孔食指数(PREN)(参考値)
|
C |
Si | Mn | Cr | Ni | Mo | N | Cu | PREN |
SUS329J4L |
0.01 | 0.50 | 0.70 | 24.90 | 6.80 | 2.80 | 0.12 | 0.20 | 36 |
SUS316L | 0.02 | 0.53 | 0.88 | 17.42 | 12.07 | 2.04 | ー | ー | 24 |
SUS304 | 0.01 | 0.37 | 1.76 | 18.07 | 8.02 | ー | ー | ー | 18 |
PREN(耐孔食指数)=Cr%+3.3Mo%+16N%
■耐食性(日鉄ステンレス㈱ 出典)
■ボルトの機械的性質
鋼種区分 |
強度区分 |
引張強さ |
永久伸び0.2% |
最小 |
最小 |
||
FA |
80 |
800 |
600 |
実測値 | サイズ:M16×70×38 | 1092 | 865 |
■耐応力腐食割れ
オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304又はSUS316は、一般大気環境では炭素鋼に比べて優れた性能を有しているものの、塩素イオンが存在する海水などに接触し、乾湿の繰返しによる塩素イオン(Cl-)が濃縮するような環境では、耐久性の面で十分な性能とはいえない場合があります。 具体的には、温水プールの上屋(Cl-が存在する環境)に使用されたステンレス鋼六角ボルトに応力腐食割れが発生する事例も報告されています。SUS329J4L鋼製FA80六角ボルトはSUS304及びSUS316鋼製六角ボルトに比べて耐応力腐食割れ性が格段に優れています。
■腐食比較試験(参考)
図1 | 図2 |
【2】腐食促進の為、水槽の外からヒーターで暖める(35℃設定)
【3】SUS304板及びSUS329J4L板(M10キリ孔+溝入)を2枚重ねし、
ボルト+ナット組合せ所定トルクで締結後水槽内へ溶液に触れないよう設置し蓋をする(図1)
【4】会社始業時に飽和食塩水(500ml)に各試料を同じタイミングで浸漬後、約80℃に温め、
8時間後に水槽内へ戻す(図2)
【5】試料を戻す際に次亜塩素酸ナトリウム液12%を水槽内に入れる(量は任意)
■650時間、1000時間経過後
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650時間 底面←ビーカー→上面 |
1000時間 底面←ビーカー→上面 |
A:304J3 |
||
B:304 | ||
C:316L | ||
D:329J4L |
■試験組合せ及び締付トルク
M10×35ボルト・ナット材質 | 板材質 | 締付トルク(N・m) | 推定軸力(kN) | |
A |
SUS304J3 | SUS304 | 70 | 26.1 |
B | SUS304 | SUS304 | 70 | 26.1 |
C | SUS316L | SUS304 | 62 | 20.3 |
D | SUS329J4L | SUS329J4L | 133 | 31.3 |