応力腐食割れ対策 |
材料は日鉄ステンレス㈱と大同特殊鋼㈱の「JIS G 4308 ステンレス鋼線材」を
使用しています。
オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304は、一般大気環境では炭素鋼に比べて優れた性能を有しているものの、 塩素イオンが存在する海水などに接触し、乾湿の繰返しによる塩素イオンが濃縮するような特殊な環境では、耐久性の面で十分な性能とはいえない場合があります。特にステンレス鋼ボルトの場合、冷間鍛造のままの製品が一般的でありSUS304素材に比べて耐久性において性能が低下しています。具体的には、温水プールの上屋(塩素イオンが存在する環境)に使用されたステンレス鋼六角ボルトに応力腐食割れが発生する事例も報告されています。 今回、ステンレス鋼製ボルトの耐食性確保の観点より、ステンレス鋼ボルトの製造方法において鍛造後の固溶化熱処理を規定した (社)ステンレス構造建築協会規格SSBS351「構造用ステンレス鋼六角ボルト及び六角ナット」(A2-50ST・A4-50ST)を制定し、その規格に基づいた「構造用ステンレス鋼六角ボルト」を製品化しました。
■ボルトの主要製造工程
■ボルト・ナットの材質
鋼種 |
鋼種区分 |
化学成分(%) |
||||||||
C |
Si |
Mn |
P |
S |
Ni |
Cr |
Mo |
Cu |
||
オーステ |
A2 |
0.10 |
1.0 |
2.0 |
0.05 |
0.03 |
8.0~ |
15.0~ |
- |
4.0 |
A4 |
0.08 |
1.0 |
2.0 |
0.045 |
0.03 |
10.0~ |
16.0~ |
2.0~ |
1.0 |
■ボルトの機械的性質
鋼種 |
鋼種区分 |
強度 |
熱処理 |
引張強さ |
永久伸び0.2% |
破断後の |
硬さ |
||
HB |
HRB |
HV |
|||||||
最小 |
最小 |
最小 |
最大 |
最大 |
最大 |
||||
オーステ |
A2及びA4 |
50 |
固溶化 |
500 |
210 |
0.6d |
187 |
90 |
200 |
■ナットの機械的性質
鋼種 |
鋼種区分 |
強度区分 |
熱処理 |
保証荷重応力 |
硬さ |
||
HB |
HRB |
HV |
|||||
最大 |
最大 |
最大 |
|||||
オーステ |
A2及びA4 |
50 |
固溶化熱処理 |
500 |
187 |
90 |
200 |